【コラム】Mr.Children、一挙公開された20タイトルMVから振り返る名曲群 改めて感じる歌のメッセージとは
リアルサウンド
2020.4.15
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Mr.Children、一挙公開された20タイトルMVから振り返る名曲群 改めて感じる歌のメッセージとは https://t.co/MLLJ2m28tk
— Real Sound(リアルサウンド) (@realsoundjp) April 15, 2020
Mr.Childrenが2020年4月7日、突如自身の公式YouTubeチャンネルで20タイトルのMVを公開した。「Birthday」など新曲4曲が立て続けに発表されたばかりであり、ファンからはこの出来事に嬉しい悲鳴も。というわけで、今回はいくつかMVをピックアップし、改めてMr.Childrenの名曲を振り返っていこうと思う。
まずはデビューシングル「君がいた夏」(1992年)。デビューとなるとド派手な曲で攻めそうなものだが、本曲は曲調もMVもどこかノスタルジック。22歳前後のメンバーが、ジェットスキーに乗ったり、全力疾走したり、自転車で海辺を走ったりと、若さ全開だ。プールサイドを歩く水着美女を目で追う姿や、田原健一(Gt)がプールに突き落とされる場面など、ユニークなレアショットも満載。Mr.Childrenにも「こんな時代があったのか」と改めて感じることができる一作だ。
楽しいといえば「シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~」(1995年)も負けていない。本作はMr.Childrenが音楽面でも影響を受けているとされるエルヴィス・コステロの「Pump it up」MVのオマージュだと言われ、メンバー全員がスーツ姿で演奏している。桜井がエルヴィス・コステロさながらの内股でステップを踏み、カメラに向かって奇天烈な表情で歌い上げる姿はかなり印象的で、ファンの間では有名なMVの一つである。メンバーがジェットコースターで絶叫するシーンなど、ファニーな展開から一転、Cメロに入ると謎の白い風に吹かれながら桜井がキメ顔で歌う、というギャップも楽しい。茶目っ気たっぷりのMVであるが、本曲のCD売上金などは全て阪神・淡路大震災への義援金に充てられたというところが、Mr.Childrenらしい。
ライブ感を楽しめるのは、「I’LL BE」(1999年)と「旅立ちの唄」(2007年)だ。まず「I’LL BE」という曲の立ち位置から説明したいのだが、「I’LL BE」にはローテンポのアルバムバージョンもあり(「I’ll be」と表記される)、ファンの間では派閥が分かれるほど共に愛されている。そして「I’LL BE」は、筆者が知る限り本MVの撮影のために1999年に赤坂BLITZで演奏されてから、ライブで(ほぼ?)演奏されたことがない超レア曲。ライブで聴けるその日まで、MVで疑似体験して待っていたい。また本曲は〈腑甲斐無い自分に 銃口を突き付けろ 当たり障り無い 道を選ぶくらいなら全部放り出して コンプレックスさえも いわばモチベーション〉〈人生はフリースタイル 孤独でも忍耐 笑いたがる人にはキスを〉など名言の宝庫なので、歌詞も味わいながら見てもらいたい。一方、「旅立ちの唄」は〈自分が誰かわからなくなる時〉、今はいないあの人が力をくれるという歌。〈背中を押しているから〉の部分で、桜井が実際に手を前に出して押しながら歌う姿が収録されており、力が湧く作品だ。
力が湧くといえば、Mr.Childrenを代表する名曲であり、スポーツ界を中心に多くの人が自身のテーマソングにしている「終わりなき旅」。4月13日現在、再生数が58万回を超えている。〈高ければ高い壁の方が 登った時気持ちいいもんな まだ限界だなんて認めちゃいないさ〉という歌詞に、筆者自身何度奮い立たされたことだろう。MV公開を受け、高橋栄樹監督はTwitterで「歌詞にもある通り、命を削りながら作品を作っていたのは確か。」と述べており、熱量のある作品となっている。メンバーは地下深くにいて、子供は地上にいる、という設定も人により様々な解釈ができて興味深い。曲を感じながら自分の内面に深く入っていける、上質な作品だと思う。
解釈が面白いもので言えば、「Worlds end」(2005年)もその一つだ。〈飲み込んで吐き出すだけの 単純作業繰り返す 自動販売機〉という歌詞のように、画一化された人間たちの中を彷徨う、二人の男女。二人の心が最後には通じ合い、その世界から解放されるというストーリーだ。本作を制作した丹下紘希監督は、他にも「君が好き」や「くるみ」、「箒星」など数多くのMr.ChildrenのMVを担当している。筆者は丹下監督の作品が好きなのだが、その理由の一つは、曲の世界観やメッセージを大切にしながら、もう一つの世界を見せてくれるところにある。丹下監督の手腕によって、よりその曲を好きになれると思うので、他作品含めチェックしてみてほしい。
今では実力派俳優として活躍している、若かりし頃の綾瀬はるかと平岡祐太が出演しているのが「未来」(2005年)。当時ポカリスエットのCM曲にもなり、爽やかさ満点の作品だ。最初の2分半は綾瀬が歩いて登校するのをひたすら映しており、そこに平岡が合流し、自転車に二人乗りするという展開。このまま学校へ、かと思いきや、綾瀬は途中で自転車を降り、少し一人で時間をつぶし、二人は別々に到着するのだ。あれ、もしや付き合っていることは秘密なのか……もはや怖いものなし、〈果てしない未来〉のある青春である。しかし爽やかなMVとは対照的に、歌詞では〈生きてる理由なんてない だけど死にたくもない こうして今日をやり過ごしてる〉と歌われているところが、このMVの見えない奥深さなのかもしれない。
その他、今回は 「抱きしめたい」、「Replay」、「CROSS ROAD」、「innocent world」、「【es】~ Theme of es ~」、「Everything(it’s you)」、「口笛」、「優しい歌」、「箒星」、「ひびき」、「Marshmallow day」、「ヒカリノアトリエ」、「SINGLES」も公開された。公開当日は新型コロナウイルス感染拡大を受け、安倍首相が東京都など7都府県を対象に緊急事態宣言を発出した日であり、この公開はMr.Childrenからの「家で音楽を楽しんで」というメッセージかのようだった。「【es】~ Theme of es ~」の〈何が起こっても変じゃない そんな時代さ 覚悟はできてる〉や、「ヒカリノアトリエ」の〈過去は消えず未来は読めず 不安が付きまとう だけど明日を変えていくんなら今 今だけがここにある〉という歌詞は、まさに今の状況に通ずる物がある。“Stay home”しながら、Mr.Childrenの歌のもつメッセージを、改めて感じてみてはいかがだろうか。(深海アオミ)
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