【ライブレポート】マカロニえんぴつ、配信ライブで全国に届けた“希望” 『マカロック振替配信ワンマン』レポート

2020.1.29

リアルサウンド

https://realsound.jp/2021/01/post-698654.html

2021年1月27日、マカロニえんぴつがKT Zepp Yokohamaにて配信ライブ『マカロック振替配信ワンマン ~Zepp横浜から希望を込めて~』を開催した。本公演は、全公演中止となった『マカロックツアーvol.10 ~わずかな希望を探し求める者たちよ篇~』の振替配信ライブであり、予定されていた構成に加え、リスナーから楽曲のリクエストも受け付けた。開演前からチャット欄には「チケット全落ちしてたから配信嬉しい!」など興奮のメッセージが続々と書き込まれた。


 冒頭、シングル『溶けない』のジャケットを彷彿とさせる蝋燭が映し出され、一曲目に演奏されたのは2017年発売の懐かしの一曲、「夜と朝のあいだ」。「ボーイズ・ミーツ・ワールド」ではドローン撮影が行われ、ステージ上のメンバーを360度周りながら映した。歌い続けるはっとりの左手にドローンが着地するという演出も、配信ならではで心踊った。


 はっとり(Vo/Gt)はMCで「アルバムって、リリースツアーをやってみんなに会いに行って『こんなアルバムなんだ』と俯瞰して完成するから、折り合いをつけたくて」と配信に至った経緯を説明。その後、長谷川大喜(Key)が奏でる印象的なイントロで始まる「Mr.ウォーター」、「たしかなことは」とアルバム『hope』収録曲を繋げ、「ヤングアダルト」へ。チャット欄には本曲の印象的な歌詞である「ハロー絶望」のコメントが次々と書き込まれ、一体感をみせた。はっとりは曲中〈ハロー、絶望 こんなはずじゃなかったかい? 「でもさ!」〉と語気を強めた。筆者は本曲の歌詞をライブで聴くたび目頭が熱くなるのだが、画面からでも絶望を吹き飛ばすほどのエネルギーが伝わり、心震えた。

 ここで「hope」のオルゴールの音色にあわせ、メンバーの幼少期の写真が放映された。犬に乗っかられるはっとり、鼻に生クリームをつけた高野賢也(Ba)、セサミストリートのぬいぐるみを抱く田辺由明(Gt)、七五三姿の長谷川と、お宝写真を次々と放出。「幼少期に思い描いたそれぞれの夢やあこがれ」「4人は出会い、あこがれは形を変え、今も追い続けている、、、」という感動的なメッセージの後に鳴らしたのは「あこがれ」。照明がつくと、そこにはコスプレしたメンバーの姿が。はっとりは「HATTORI」の名と、ファンだという元阪神タイガース・今岡誠選手の背番号「7」の刺繍が入ったユニフォーム姿、料理本出版をめざす長谷川はコック、高野はセーラーマーキュリー、田辺はハードロックギタリスト?のような白髪姿で登場。「それぞれがいつか憧れたものたちになってみた」とのこと。「人生はあたかも自分で選んできたかのようだけど、音楽をやっていなかった今もありえると思うと感慨深い。今が一番楽しいと言えて幸せだと思い、あこがれをやりました」「決め込みすぎなくても、なるようになります」とメッセージを送った。


 「恥も外聞もなく全部さらけ出してやりたいと思います」とコスプレ姿のまま演奏を始めたのは「この度の恥は掻き捨て」。早口長文の歌詞を歌い切ったはっとりに、チャット欄には「おつかれさまー!」の文字が並んだ。

 衣装を戻し、リクエストセクションへ。3位から順に、と前置きし、「愛の手」(2ndミニアルバム『エイチビー』収録)を披露。演奏後、サポートドラムの高浦”suzzy”充孝を紹介し、「4位はみっちゃんでした」と人気ぶりを語った。続いて、「世界中のライブハウスに捧げたいと思います」と、ライブ大定番の「ワンドリンク別」(1stミニアルバム『アルデンテ』収録)へ。チャット欄には「ワンドリンク別!」の文字が信じられないスピードで投稿され、また皆で集まって声を出す日が待ち遠しくなった。演奏後はっとりも「みんなの声が聞こえてきた」と喜んだ。そして堂々の1位は「MUSIC」(1stフルアルバム『CHOSYOKU』収録)。マカロニえんぴつはグッドミュージックを届け続けるーーこれは彼らが昔からずっと言い続けてきたことであるが、〈夢をもったあなたには きっと届く、あなたには グッドミュージック〉と歌う本曲が1位になったことは、マカロニえんぴつとリスナーの絆の証のようで、込み上げるものがあった。


 「去年はどうだった?」との問いかけに長谷川は4キロのダイエットに成功した(しかしその後リバウンド)エピソードを披露。昨年はメジャーデビュー発表、レコーディング、アルバム2枚発表、『Mステ』はじめ多数のテレビ出演と、充実した年であり、スタッフにも改めて感謝した年だったと振り返った。


 「希望は急にどっかへいなくなってしまうものだと思う」「だからこそ、希望を探すのではなく、帰ってくるのを待つのではなく、もう一回作るのだと思う」「あなたの希望の一つが僕らなら、安心してください。どこにもいかないので。歌うと決めたし、続けると決めたし、絶望と向き合うと決めました。そんな俺たちが大事なことをそっと渡すんで、独り占めしないで誰かに渡してってください」と結び、心の込もった「hope」を奏で、終演となった。

 全国に届けてまわるはずだったhopeを、この日配信という形でマカロニえんぴつは全国に手渡した。こうして聴いていると、マカロニえんぴつが良質な曲を連発していることに気づかされる。心に響く歌詞、高い演奏技術、ポエティックなMC、ユーモアのあるメンバー。とても1回のライブでは聴きたい曲がおさまらないバンドになった。アルバム『hope』の後に出されたミニアルバム『愛を知らずに魔法は使えない』も良曲ばかりだ。今年4月スタート予定のマカロニえんぴつ史上最大規模の全国ホールツアー『マカロックツアーvol.11 ~いま会いに行くをする篇~』の開催が実現し、私たちに直接hopeを届けてくれる日が、さらに楽しみになる一夜であった。


■セットリスト

『マカロック振替配信ワンマン ~Zepp横浜から希望を込めて~』

2021年1月27日(水)KT Zepp Yokohama

01. 夜と朝のあいだ

02. 遠心

03. ボーイズ・ミーツ・ワールド

04. Mr.ウォーター

05. たしかなことは

06. ヤングアダルト

07. あこがれ

08. この度の恥は掻き捨て

09. 愛の手

10. ワンドリンク別

11. MUSIC

12. mother

13. 愛のレンタル

14. 恋人ごっこ

15. hope

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